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吹抜け

事務所として入居しているビルは、
鹿児島では珍しいタイプの古いマンションだ。
築年数は35年以上経っているけれど、
その歪な形状のせいか、
今でもデザインという意味での新鮮は失われていない。
今で言う、「デザイナーズマンション」か。
(この表現は好きではないけれど。)
それを証明するかのように、今現在でもこのマンションは
常に満室の状態が続いている。
(お世辞でも程度の良い建物、とは言えないのに!)

マンションには大きな吹き抜けがある。
1階のエントランス部分から見上げると、
鉄の骨子と蓋を被せるように
アクリルの屋根(みたいなもの)が覆っている。
このマンションは僕らの2階フロアだけが事業用として使われており
3階から8階までは住居として、様々な人が暮らしている。
そのせいか、吹き抜けを囲む手すりの部分には
たまに洗濯物や布団、傘などが干されていたりする。
露骨な生活感が、否応無しに視界に入ってくるのだ。
でも、そんな景色すらも魅力的な風景に変えてしまうほど、
この吹抜けは、美しい。(と僕は思ってます。)
緑色の手すりと大きな階段。そして白い壁。
ただそれだけなのだが、なんとも言えない魅力がある。
毎朝事務所に来た時、
1階から上を見上げる事が楽しみ一つになっているくらいだ。
でも、高い所があまり得意ではない僕にとって、
上(8階)から下を覗いた事はないし、
たぶんこれからもそうするつもりはない。
ちっぽけな勇気を振り絞って見たところで、
下からの風景に勝る景色が広がっているとは想像しにくいから。

いや、ただ単に怖いだけかも。

鹿児島市 松原町

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